2017年4月18日火曜日

宵夜森ノ姫/ハーロルト

松岡禎丞さん演じる
ハーロルトのネタバレ感想です。


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そうか、俺が欲しかった力は、
おまえを守る力だったんだ。


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父親はシュタールで工場を営んでいた。
そんな父親が亡くなり、
俺が工場をきりもりするように。

元々手先は器用で
物を作る事が好きだった俺にとって、
工場での仕事は天職だったんだ。

所がある日エーレンフリートがやってきて、
そこで俺の人生は大きく変わった。
うちの工場の
噂を聞きつけたエーレンフリートが、
軍事用の道具を作るようにと
依頼して来たから。

人の役に立つものを作る事が
誇りだった俺は、
殺人兵器なんて作れないと
エーレンフリートに楯突いた。

けれど、そんな俺に
「憤怒」の呪いをかけたあいつは、
俺の目の前で工場の仲間を殺したんだ。
虫けら同然に。

だから力が欲しいと思った。
あの日仲間を助けられなかったから、
力を手にして、
せめて仲間のために復讐してやりたくて。

そうして宵夜森に追放された俺は、
クラウスたちの屋敷に住むようになり、
ランベルトに剣を習いたくて
着いて回るものの、
一向に教えてもらえない。

そんな日々を過ごしていたある日、
あいつがこの屋敷にやってきて
俺の生活は一変。

最初は生意気な女だと思ったし、
喧嘩ばかりだったけど、
すぐ怒る短気なところも含めて、好きだよ
そんな風に言って
俺を受け入れてくれたあいつの隣が、
いつしか居心地のいい場所になってたんだ。

けれどある日、
あのエーレンフリートが目の前に現れ、
仲間を殺されたあの日の事が蘇り、
更にはエーレンフリートが
あいつを連れ去ろうとするから。
だから俺は禍宵化してあいつを助けた。

けれど呪いの力なんて
使っていいものじゃないし、
あいつに言われたんだ。

禍宵の力を借りて復讐するなんて、
そんなの戦いじゃない。
ただの殺戮だって。

確かに力を制御出来ずに、
めちゃくちゃやったのは事実。
それにあいつに悲しい顔を
させた事が何より辛くて。

だから約束した。
もう禍宵の力は使わないって。

けれど屋敷を出て、
秘密基地として作ったツリーハウスで、
あいつと二人で暮らし始めたある日、
あいつを迎えに再びやってきた
エーレンフリートに森を焼かれ、
俺が開発した殺人兵器が
仲間たちを倒して行くところを見た俺は、
再び禍宵の力を使う事に。

約束したのに。

けど、無理だったんだ。
自分の作った過去の過ちを
目の前に持ちだされ、
それが屋敷で暮らした仲間を、
俺たちを助けに来てくれた
あいつらを傷つけたところを見たら、
もう我慢出来なくなったんだ。

それでもランベルトが教えてくれた。
禍宵の力を使ったけれど、
俺はあいつを守れたし、
過去の過ちである
あの兵器をその力で破壊する事が出来たと。

そうしてエーレンフリートは捕らえられ、
あいつの本当の居場所である
シェーンバルトに連行された。
それと同時に、
あいつが本当はシェーンバルトの姫で、
両親が会いたがっていると知らされたんだ。

身分が違うから。
吊り合わないから。

色々と理由を考えてみたものの、
無理だった。
あいつを好きだという気持ちは、
どんな理由を並べたって
諦める事なんて出来なくて。

だから俺は決めたんだ。
諦めない事を。

そうしてあいつが
国に帰る事が決まった時、
約束をした。

一人前になって迎えに行くと。
だからおまえは姫として
シェーンバルトで頑張れって。

その後、俺はクラウスの部下となり、
軍で腕を磨き、5年の月日を経て、
シュタールと友好条約を結んでいる
シェーンバルトに、
大使とシェーンバルトの姫の
護衛隊長として赴く事に。

あの頃はまだ背も小さくて、
みんなにちび扱いされてたけど、
今ではすっかり体もでかくなって、
大剣だって扱えるようになった。

けど「俺を超えてみせろ
と言ったランベルトには、
多分剣技では今でも敵わない。
それでも5年かけて、
俺はやっと理解したんだ。
本当の強さってのは、
ただ力が強い事じゃなく、
信念の強さなんだって事に。

5年間ずっとおまえを想い続け、
約束を果たすという
信念を持ち続けた事で、
俺はそれを知る事ができたんだ。

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だからこれからは
おまえの剣となり盾となり、
一生守ると誓うから。
ずっと俺の傍に居てくれ。